
看護師 H.N
看護師を目指した原点は、看護師だった母の背中です。仕事に誇りを持ち、日常の会話の端々から伝わるプロ意識が、子どもの私にはとても格好よく映りました。小児科で看護師としてスタートし、結婚・出産後は外来部門、放射線科で心臓カテーテルにも関わってきました。昨年、家族と生活のリズムを大切にできる30分圏内で働きたいと考え、現在の病院に転職しました。今は循環器内科の病棟で、成人の入院患者さんを初めて継続的に受け持ち、心不全を含む「病態から生活まで」の全体像を学べています。外来で培った経験が活きる場面も多く、研修や学びの機会にも恵まれ、通勤や家庭との両立もしやすくなりました。生活を土台にしながら、看護の幅をもう一段広げられていることが、ここで働いてよかったと感じる一番の理由です。
思い込みを手放す。声をかけ確かめ、患者さんの言葉を拾う看護
私が一番意識しているのは「思い込みをしない」ことです。表情や雰囲気だけで「大丈夫そう」と決めつけず、必ず「困りごとはありませんか?」と声をかけ、返答を確認してから離れるようにしています。救急外来での経験から学んだ教訓でもあります。電話相談の内容が診察時に十分伝わらず、患者さんが本当に伝えたかった不安が拾いきれていないと上司から指摘を受け、私の中の“思い込み”に気づかされました。診察前に緊張して言えない、言いたいことが多すぎて一部しか伝えられない。そんな状況は誰にでも起こり得ます。だからこそ看護師が橋渡し役となり、患者さんの言葉を丁寧に引き出すことを大切にしています。小さな一言の確認が、後悔を防ぎ、安心につながると信じて、これからも続けていきます。
心臓カテーテルの学びを患者支援に活かしていきたい
看護の魅力は、チームでいのちに向き合えることだと感じています。急変時のように一瞬の判断と連携が求められる場面で、誰かが全体を見て指示を出し、各自が自分の役割を即座に果たしていく。記録、準備、処置、医師との連携が自然に噛み合い、患者さんにとって最善を選び取っていく過程は、プロフェッショナルの集まりならではの「技」と「芸術」に近い手応えがあります。その流れに確実についていくための学びも、私にとっては大きな喜びです。今後は心臓カテーテルの知識・資格取得に挑戦し、造影・治療の経験を病棟看護にさらに活かしたいです。治療前後の不安の軽減や生活指導に役立て、外来と病棟、検査と日常をつなぐ“橋”として、チームに貢献できる看護師をめざしたいと思います。
