事務職から看護の道へ。父の死をきっかけに得た「生き方」への問い

看護師 M・S

 私の看護師としてのキャリアは少し特殊かもしれません。元々、看護とは全く関わりのない事務職(総務など)として働いていました。転機となったのは、24歳で父を亡くした経験です。父が入院中、忙しく働く看護師さんを見て「大変な仕事だな」と感じていましたが、父が亡くなった時、「自分は何もできなかった」という後悔が残りました。親にできなかったことを何かしら返せることはないかと考えたとき、「自分が看護師になろう」とふと思ったのです。そして29歳で看護師になりました。その後、教員の経験を経て臨床に戻りたいと思い今に至ります。そして、家庭の都合でこちらに引っ越すことになり、当院とご縁をいただきました。病院のことは知っていましたが、まさかここで働くことになるとは思っていませんでした。

「直接返ってくる」からこそ成長できる。信頼関係を築くための「本音」の看護

 当院で働き1年半ほどですが、一番に感じたのは「人がいい職場」ということです。人間関係を非常に大切に考える私にとって、新しい環境で受け入れてもらえたことは本当に良かったと感じています。忙しい病院ではありますが、人間関係が良いからこそ、皆で頑張ってやっていけるのだと思います。私が看護師の仕事の魅力だと考えているのは、「良いことも悪いことも全部直接返ってくる」という点です。患者さんからの「ありがとう」という感謝の言葉や、逆に嫌なことやクレームもストレートに自分に返ってきます。これは他の仕事ではなかなか経験できないことです。この「直接返ってくる」経験は、自分自身が振り返り、次につなげられる貴重な機会を与えてくれます。患者さんとの関わりにおいて、私はまず信頼関係を築くことを最も大事にしています。頼まれたことには必ず返事をし、対応することで、「この看護師に任せたら大丈夫だ」と思ってもらえるよう努めています。

チームの助け合いと業務改善で、より「働きやすい環境」を実現したい

 私は現在リーダーの役割も担っており、この病院で1年半を過ごす中で、皆さんがより「働きやすい環境」になるように貢献していきたいと考えて来ました。この病院で笑顔で長く勤められる人が増えるよう、私から改善のきっかけを発信していきたいです。働きやすい環境の要件として重視しているのは、皆が助け合える環境であること、そして残業をできるだけ少なくすることと考えています。具体的には、病棟間で看護師の繋がりを強化することや、みんなの負担にならない業務の仕方を取り入れることを検討していきたいです。今後も働きやすい環境を実現するため私も看護師としてさらに成長していきたいと思っています。