看護師 S・N
僕が看護師になったのは、少し変わったきっかけでした。もともとは公務員を目指していたのですが、高校3年生の三者面談に向かう車中、母から突然「あなた、看護師はどう？」と勧められたのです。それまで全く考えていなかった道でしたが、兄の友人がこの病院で看護師として働く姿を見ていたことや、「やってみたらどうなるだろう」という興味が湧き、この道に進むことを決めました。看護学校での学びは新鮮なことばかりでした。特に解剖学などで人体の仕組みを知ることは面白く、これまで知らなかった世界が楽しみになりました。実習では、患者さんからかけていただく「ありがとう」という言葉に心が動き、この仕事のやりがいを初めて実感しました。一方で、看護師1年目は、正直に言って大変なことの連続でした。学生時代とは比べものにならないほどの知識が求められ、日々の業務をこなすことで精一杯。家に帰ってからも勉強する毎日で、心身ともに余裕がなかったことを覚えています。
成長を支えてくれるこの病院で、患者さんの「思い」を一番に考えて寄り添っていきたい
僕が看護をする上で最も大切にしているのは、患者さんの「思い」を一番に考えることです。認知症の患者さんであれば、ご本人だけでなくご家族からもお話を伺い、その方がどんな生活を送ってこられたのかを理解した上で関わるようにしています。また、脳梗塞などで身体が不自由になった方には、ただリハビリを促すのではなく、「家に帰りたい」という目標を共有し、前向きな気持ちになれるような声かけを心がけています。この病院で勤めてよかったと思うのは、まず、職場の雰囲気がとても良いことです。先輩方は皆優しく、困ったことがあれば丁寧に教えてくださいます。また、看護学校の同期も多く働いているので、気軽に相談できる仲間がいることは大きな心の支えになっています。教育体制もしっかりしていて、年次ごとの研修や課題を通して着実にステップアップしていける環境が整っています。安心して働き、成長していけるこの場所でキャリアをスタートできて本当に良かったと感じています。
心に響く「ありがとう」が原動力。専門性を高めて、いつかはドクターヘリに乗りたい
この仕事の魅力は、やはり患者さんからいただく「ありがとう」という感謝の言葉に尽きます。中でも、じっくりと関わり、信頼関係を築けた患者さんからいただく言葉には特別な重みがあり、僕自身の心も動かされます。それが「もっと頑張ろう」という次へのモチベーションになっています。もともと「人のために役立つ仕事がしたい」という思いがありましたが、看護師という仕事を通して、その思いを日々実現できていることに大きなやりがいを感じています。今後の目標は、より専門性を高め、質の高い看護を提供できるようになることです。特に救急や救命といった分野に興味があり、将来的にはドクターヘリに乗って現場に駆けつけられるフライトナースになるのが夢です。その大きな目標に向かって、まずは日々の業務一つひとつに真摯に向き合い、知識と技術を磨きながら、これからも挑戦を続けていきたいと思っています。